少年野球を始めたばかりの子供や、まだ経験が浅い子供の中には、ボールを怖がってしまう子がいます。
キャッチボールでボールの正面に入れない。
フライが上がると落下地点に入れない。
顔の前でボールを捕るのが怖い。
ゴロでも体が引けてしまう。
こうした姿を見ると、親としては、
「なんで正面に入らないの?」
「ボールを見ていれば捕れるのに」
「怖がらずに前に出ればいいのに」
と思ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、子供にとってボールへの恐怖心はとても自然なものです。
特に野球のボールは硬く、当たると痛いというイメージがあります。
一度でも顔や体に当たった経験がある子は、無意識に体が逃げてしまうこともあります。
そこで大切なのは、いきなり硬いボールで練習させるのではなく、安全なボールを使いながら、少しずつ「捕れる感覚」と「怖くない経験」を積ませることです。
この記事では、自宅でできる少年野球の練習方法の中でも、特にボールが怖い子供への対策に絞って解説します。
前回の記事では、自宅でできる自主練習全体について紹介しました。
今回はその中でも、守備やキャッチボールの土台になる「ボールへの恐怖心を減らす練習」に特化してまとめます。
ボールが怖い子供は珍しくない
まず最初に知っておきたいのは、ボールが怖い子供は決して珍しくないということです。
少年野球を始めたばかりの子供は、まだボールの軌道を読む力が十分に育っていません。
どこに飛んでくるのか、どのくらいの速さで来るのか、体に当たったらどれくらい痛いのかを、経験としてまだ理解できていない状態です。
そのため、ボールが飛んでくると、
- 顔を背ける
- 目をつぶる
- 体が後ろに引ける
- 手だけで捕りに行く
- 正面に入れない
- 落下地点に入れない
という動きが出やすくなります。
これは「やる気がない」わけでも、「根性が足りない」わけでもありません。
単純に、まだボールに慣れていないだけです。
ボールが怖い子供に必要なのは根性論ではなく段階練習
ボールを怖がる子供に対して、いきなり強いボールを捕らせるのはおすすめできません。
「怖がるな」
「逃げるな」
「正面に入れ」
と声をかけても、恐怖心がある状態では体が思うように動きません。
むしろ、無理に怖い練習を続けてしまうと、さらにボールが嫌いになってしまうこともあります。
大切なのは、段階を作ることです。
最初は柔らかいボールでよいです。
近い距離でよいです。
下から軽く投げるだけでよいです。
そこで「捕れた」という成功体験を積むことで、子供の中に少しずつ自信が生まれます。
ボールへの恐怖心を減らすには、次の順番が大切です。
- 柔らかいボールで安心感を作る
- 正面で捕る感覚を覚える
- 少し左右に動いて捕る
- 少し高いボールを捕る
- 落下地点に入る練習をする
- 最後にキャッチボールへつなげる
このように、少しずつレベルを上げていくことで、子供は無理なく成長できます。
ボールが怖い子供には柔らかいウレタンボールがおすすめ
ボールへの恐怖心を克服する練習では、まず柔らかいウレタンボールを使うのがおすすめです。
ウレタンボールは、通常の軟式球よりも軽くて柔らかいため、体に当たっても痛みが少なく、子供が安心して練習しやすい道具です。
特に、顔の前で捕る練習やフライ捕球の導入には向いています。
ウレタンボールを使うメリット
ウレタンボールを使うメリットは、次の通りです。
- 当たっても痛みが少ない
- 子供が怖がりにくい
- 室内でも使いやすい
- 顔の前で捕る練習がしやすい
- フライ練習の導入に向いている
- 失敗しても安心感がある
- 低学年でも扱いやすい
ボールが怖い子にとって、最初に必要なのは「捕る技術」よりも「怖くない」という感覚です。
ウレタンボールであれば、多少失敗して体に当たっても、大きな恐怖につながりにくくなります。
そのため、ボールを最後まで見る練習にも取り組みやすくなります。
ウレタンボールで練習するときの注意点
ウレタンボールは安全性が高いですが、注意点もあります。
柔らかいからといって、強く投げすぎる必要はありません。
ボールが怖い子供に対しては、まず「安全に捕れるスピード」で投げることが大切です。
ウレタンボール練習の注意点
- 最初は近い距離から始める
- 強く投げすぎない
- 顔に向かって速い球を投げない
- 子供が怖がったらレベルを下げる
- 室内では家具や照明に注意する
- 成功したらしっかり褒める
練習の目的は、子供を驚かせることではありません。
安心してボールを見られるようにすることです。
自宅でできるボール恐怖克服メニュー①下から投げたボールを正面で捕る
最初におすすめなのが、下から軽く投げたボールを正面で捕る練習です。
これは、ボールが怖い子供にとって一番取り組みやすい基本練習です。
親が子供の正面に立ち、柔らかいウレタンボールを下からふわっと投げます。
子供はそのボールを顔の前、または胸の前で両手を使って捕ります。
練習方法
- 親と子供が近い距離で向かい合う
- 親が下から軽くウレタンボールを投げる
- 子供はボールを最後まで見る
- 顔の前、または胸の前で両手で捕る
- 慣れてきたら少しずつ回数を増やす
最初はグローブを使わなくても構いません。
素手で柔らかいボールを捕ることで、ボールをつかむ感覚が身につきます。
この練習のポイント
- ボールを怖がらずに見る
- 正面で捕る感覚を覚える
- 顔を背けない
- 両手で包み込むように捕る
- 成功体験を増やす
最初から完璧に捕れなくても大丈夫です。
ボールを見て、手を出せただけでも十分な成長です。
自宅でできるボール恐怖克服メニュー②左右に少し動いて正面で捕る
正面のボールに慣れてきたら、次は左右に少し動いて捕る練習をします。
野球では、いつも体の正面にボールが来るわけではありません。
少し右に来たり、左に来たりします。
そのときに手だけで捕りに行くのではなく、足を動かしてボールの正面に入ることが大切です。
練習方法
- 親が子供の正面に立つ
- 右側、左側に少しだけボールを投げる
- 子供は足を動かしてボールの正面に入る
- 顔の前、または胸の前で捕る
- 捕れたら元の位置に戻る
最初は大きく動かす必要はありません。
半歩から一歩くらいの移動で十分です。
この練習のポイント
- 手だけで取りに行かない
- 足を動かして正面に入る
- ボールから目を切らない
- 捕れる位置まで体を運ぶ
- 失敗しても焦らない
この練習を繰り返すことで、子供は「正面に入る」という感覚を覚えていきます。
自宅でできるボール恐怖克服メニュー③少し高めのボールを顔の前で捕る
次の段階では、少し高めのボールを捕る練習をします。
ボールが怖い子供は、顔の近くにボールが来ると反射的に避けてしまうことがあります。
そのため、柔らかいウレタンボールを使って、顔の前で捕る練習を少しずつ行います。
練習方法
- 親が下から少し高めにボールを投げる
- 子供はボールの軌道を見る
- 顔の前で両手を出す
- ボールを包み込むように捕る
- 慣れてきたら少しずつ高さを変える
最初は、顔より少し下の高さでも構いません。
慣れてきたら、顔の前、頭の少し上へと段階的に変えていきます。
この練習のポイント
- 顔を背けない
- 最後までボールを見る
- 両手で捕る
- 怖がったら高さを下げる
- ウレタンボールで安心感を作る
この練習では、捕れたかどうかよりも、ボールを最後まで見られたかを大切にしましょう。
自宅でできるボール恐怖克服メニュー④落下地点に入る練習
ボールが怖い子供にとって、フライや山なりのボールは難しい練習です。
なぜなら、ボールがどこに落ちてくるのかを予測する必要があるからです。
さらに、落下地点に入って、顔の前や頭の上で捕る必要があります。
そこで、自宅では柔らかいウレタンボールを使い、短い距離から落下地点に入る練習を行います。
練習方法
- 子供を少し離れた位置に立たせる
- 親が子供の前方にふわっとボールを投げる
- 子供はボールの落ちる場所へ移動する
- 正面に入って両手で捕る
- 慣れてきたら左右や前後に少しずつ動かす
この練習では、最初から高いフライを上げる必要はありません。
低めの山なりボールから始めると、子供も怖がりにくくなります。
この練習のポイント
- まずボールを見る
- 落ちる場所を予測する
- 足を使って移動する
- 最後に正面で捕る
- 捕れなくても落下地点に入れたら褒める
落下地点に入る力は、すぐには身につきません。
何度も繰り返すことで、少しずつ感覚が育っていきます。
自宅でできるボール恐怖克服メニュー⑤走ってきて捕る練習
落下地点に入ることに慣れてきたら、次は動きながら捕る練習に進みます。
実際の野球では、止まった状態でボールを待つだけではありません。
外野フライや内野フライでは、走りながら落下地点に入る場面が多くあります。
練習方法
- 子供を右側または左側の位置に立たせる
- 親が中央付近にふわっとボールを投げる
- 子供は走って落下地点に入る
- 正面でボールを捕る
- 休憩を挟みながら繰り返す
この練習は走る動きも入るため、思っている以上に疲れます。
インターバルを取りながら、無理のない範囲で行いましょう。
この練習のポイント
- ボールを見ながら走る
- 落下地点に早く入る
- 最後は止まって捕る意識を持つ
- 捕る直前に慌てない
- 疲れたら休憩する
最初は失敗しても問題ありません。
「動きながらボールを見る」「落下地点に向かう」という経験そのものが大切です。
自宅でできるボール恐怖克服メニュー⑥キャッチボールにつなげる
最後は、実際のキャッチボールにつなげていきます。
ここまでの練習で、正面で捕る、左右に動く、高めのボールを捕る、落下地点に入るという動きに少しずつ慣れてきたら、キャッチボールでも正面に入る意識が出やすくなります。
ただし、いきなり強い球を投げる必要はありません。
最初は近い距離で、子供が捕りやすいボールを投げます。
慣れてきたら、少しずつスピードや距離を上げていきます。
練習方法
- 近い距離で向かい合う
- 捕りやすいボールを投げる
- 子供は正面に入って捕る
- 捕ったら相手に向かって投げ返す
- 慣れてきたら少しずつ距離を伸ばす
この練習のポイント
- 最初は捕れる強さで投げる
- 胸のあたりを狙って投げる
- 正面に入る意識を持たせる
- 捕れたらしっかり褒める
- 失敗したら前の練習に戻る
キャッチボールでボールが捕れるようになると、子供の自信は大きく変わります。
「自分は捕れる」
「ボールは怖くない」
「正面に入れば大丈夫」
という感覚が育つことで、チーム練習でも動きが変わっていきます。
ボールが怖い子供への声かけのコツ
ボールへの恐怖心を克服するには、練習メニューだけでなく、親の声かけも大切です。
子供が怖がっているときに、強い言葉で責めてしまうと、さらに緊張してしまいます。
避けたい声かけ
- なんで逃げるの?
- 怖がるな
- ちゃんと捕れ
- それくらい捕れるでしょ
- 何回言ったらわかるの?
こうした言葉は、親としてつい言ってしまいがちです。
しかし、子供にとってはプレッシャーになりやすい言葉です。
おすすめの声かけ
- 今のはボールを見られていたね
- 正面に入ろうとしたのが良かったよ
- さっきより一歩動けたね
- 当たっても柔らかいボールだから大丈夫
- 捕れなくても落下地点に入れたからOK
- 次はもう少し近くからやってみよう
大切なのは、結果だけでなく、動きの変化を褒めることです。
捕れなかったとしても、ボールを見られた。
正面に入ろうとした。
一歩前に出られた。
顔を背けなかった。
こうした小さな成長を見つけてあげることで、子供は少しずつ前向きになります。
個人練習だからこそ子供に合わせたメニューができる
チーム練習では、どうしても全体メニューが中心になります。
監督やコーチが一人ひとりに合わせて細かく練習を組むのは難しい場合もあります。
特に、ボールが怖い子供に対して、時間をかけて段階的に慣れさせる練習は、家庭の方がやりやすいこともあります。
家庭での個人練習なら、
- 子供の怖がり方に合わせられる
- 柔らかいボールから始められる
- 失敗しても周りを気にしなくていい
- 子供のペースで進められる
- できた瞬間をすぐ褒められる
というメリットがあります。
チームで足りない部分を家庭で補う。
これは、少年野球の自主練習ではとても大切な考え方です。
指導者に相談して家庭練習に落とし込む
家庭で練習をする場合、親だけで判断しすぎず、指導者に相談するのもおすすめです。
たとえば、
「うちの子はキャッチボールで正面に入れないのですが、家でどんな練習をしたらいいですか?」
「フライを怖がるのですが、柔らかいボールで練習してもいいですか?」
「ゴロに対して体が引けるのですが、どんな段階練習が合っていますか?」
と確認してみると、チームで見えている課題を家庭練習に活かしやすくなります。
指導者のアドバイスをもとに、家庭で短時間でも練習することで、チーム練習での動きも変わっていきます。
ボールが怖い子供向けの練習メニュー例
ここでは、実際に自宅で取り組みやすいメニュー例を紹介します。
長時間行う必要はありません。
最初は10分から15分程度でも十分です。
初心者向け10分メニュー
ボールがかなり怖い子や、低学年の子には、まず短いメニューから始めましょう。
- ウレタンボールを触る・投げる:1分
- 下から投げたボールを正面で捕る:10球
- 左右に少し動いて捕る:左右5球ずつ
- 少し高めのボールを顔の前で捕る:10球
- 最後にできたことを褒める:1分
このメニューでは、怖さを減らしながら、正面で捕る感覚を育てます。
慣れてきた子向け20分メニュー
少しボールに慣れてきた子には、動きのある練習を入れていきます。
- 軽いストレッチ:3分
- 下から投げたボールを正面で捕る:10球
- 左右に動いて捕る:左右10球ずつ
- 少し高めのボールを捕る:10球
- 落下地点に入る練習:10球
- 近距離キャッチボール:5分
- 今日できたことを確認する:1分
捕れた数だけで評価するのではなく、正面に入れたか、ボールを見られたか、怖がらずに手を出せたかを見るようにしましょう。
ボールが怖い子供の練習で注意したいこと
ボールへの恐怖心を克服する練習では、焦らないことが大切です。
親が早く上達させたいと思うほど、ついレベルを上げすぎてしまうことがあります。
しかし、子供が怖がっている状態で無理をすると、逆効果になることもあります。
注意したいポイント
- いきなり硬いボールで始めない
- 強いボールを投げすぎない
- 顔付近に速い球を投げない
- 怖がったら前の段階に戻る
- 長時間やりすぎない
- 失敗を責めない
- 捕れた数だけで評価しない
特に大切なのは、怖がったときにレベルを下げることです。
「さっきできたから次もできるはず」と思っても、子供の気持ちは日によって変わります。
怖がる日があっても大丈夫です。
その日は近い距離に戻す。
低いボールに戻す。
ウレタンボールで遊ぶだけにする。
そうやって、無理なく続けることが大切です。
ボールが怖い子供が成長したサイン
ボールへの恐怖心が少しずつ減ってくると、動きに変化が出てきます。
成長のサイン
- ボールを最後まで見るようになる
- 顔を背ける回数が減る
- 正面に入ろうとする
- 一歩前に出られる
- 両手で捕ろうとする
- フライの落下地点に動ける
- キャッチボールで逃げなくなる
- 捕れなくても挑戦できる
このような変化が見えたら、しっかり褒めてあげましょう。
たとえ捕れなくても、正面に入ろうとしたなら大きな成長です。
ボールを見られたなら、それも成長です。
少年野球では、結果だけではなく、挑戦する姿勢も大切にしたいところです。
まとめ|ボールが怖い子供には、ウレタンボールで成功体験を積ませよう
ボールが怖い子供にとって、野球の練習は不安を感じる場面が多いものです。
キャッチボールで正面に入れない。
フライの落下地点に入れない。
顔の前でボールを捕れない。
ゴロでも体が引けてしまう。
こうした姿を見ると、親としてはもどかしく感じることもあると思います。
しかし、ボールへの恐怖心は、無理やり克服させるものではありません。
段階を作り、安心できる環境で、少しずつ慣れていくことが大切です。
そのために有効なのが、柔らかいウレタンボールを使った自宅練習です。
ウレタンボールなら、体に当たっても痛みが少なく、子供も安心してボールを見ることができます。
下から投げたボールを正面で捕る練習、左右に動いて捕る練習、高めのボールを顔の前で捕る練習、落下地点に入る練習など、段階的に取り組むことで、少しずつ恐怖心を減らすことができます。
また、家庭での個人練習は、子供のペースに合わせやすいという大きなメリットがあります。
チーム練習ではなかなか時間をかけられない部分も、家でならじっくり取り組むことができます。
大切なのは、捕れたかどうかだけで判断しないことです。
ボールを見られた。
一歩動けた。
正面に入ろうとした。
顔を背けなかった。
落下地点に向かえた。
こうした小さな成長を見つけて褒めてあげることで、子供は少しずつ自信を持てるようになります。
ボールが怖い子供には、根性論ではなく、安心できる練習環境と成功体験が必要です。
自宅でできる短い練習でも、続ければ確実に変化は出てきます。
柔らかいウレタンボールを活用しながら、子供が「捕れた」「怖くなかった」「もう一回やりたい」と思える時間を作ってあげましょう。


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