【第8話】自分が戦ったグラウンドで、子どもが戦う

【第8話】自分が戦ったグラウンドで、子どもが戦う

5月。

大会会場を聞いた瞬間、
胸の奥が、少しだけざわついた。

見覚えのある景色

グラウンドに足を踏み入れたとき、
一瞬、時間が巻き戻ったような感覚になった。

  • バックネットの位置
  • ベンチの配置
  • 外野の広さ
  • 土の匂い

ここで、俺は高校球児だった。

公式戦をやった。
緊張した。
負けた試合も、勝った試合もあった。

その場所に、
今は――

自分の子どもが立っている。

親になると、景色が変わる

あの頃の自分は、

  • 勝つこと
  • レギュラーを取ること
  • 結果を出すこと

それしか考えていなかった。

でも今は違う。

  • ちゃんと立てているか
  • 怪我をしないか
  • 緊張しすぎていないか

自然と、
見る視点が変わっていた。

父母会長としての現実

感慨に浸っている暇は、ない。

  • 本部対応
  • 連絡
  • 段取り
  • 時間管理

気がつけば、
いつもの“運営側の目”に戻っていた。

それでも、
ふとした瞬間に目に入る。

バッターボックスに立つ息子。
ベンチから声を出す娘。

勝ち負けよりも、時間

試合の内容は、
正直、派手じゃなかった。

圧勝でもない。
劇的な展開でもない。

でも、
この日はそれでよかった。

交差する時間

高校生の頃の自分。
今、父として立っている自分。
そして、野球をしている子どもたち。

同じグラウンドで、
三つの時間が、静かに重なっていた。

「続いている」という事実

勝てなかったとしても。
上手くいかなくても。

それでも、

  • 野球を続けている
  • グラウンドに立っている
  • バットを振っている

それ自体が、
もう十分すぎるほどだった。

親として思ったこと

もし、あの頃の自分に言えるなら、
こう言うと思う。

野球は、
勝つためだけにやるもんじゃない

いつか、
自分の子どもが同じ場所に立つ

それを見るために、
続いていく時間もあるんだぞ

静かに終わる一日

大会が終わり、
グラウンドを後にするとき。

特別な言葉は、なかった。
大きな感動の演出も、ない。

ただ、
胸の奥に、
確かなものが残っていた。

次回予告(第9話)

6月。
娘の女子選抜。
出られなかった悔しさ。

Tボール大会では、
トラブル続出、試合遅延。

そして、
地域の草刈り。

「うまくいかない日」が重なる月に入ります。

▶ 続きを読む(第9話)

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